英語ができるか、できないかの話になったときに、TOEICのスコアを持ち出すと、こんなことを言う人がいます。
ちょっと待ってください!
「英語ができる」の定義も曖昧なまま、関係ないとか、意味がないと切り捨てるのは、おかしいと思います。
少しだけ冷静になって考えてみると、TOEICも英語の能力を鍛えるために重要なツールであることが分かります。
- 英語は、インプットができないと、アウトプットできない
- TOEICはインプットを鍛えるために効率的なツール
- 日本ではTOEICの点数が重視されている
一つ一つ解説していきます。
目次
そもそも英語ができるってどういうこと?
一般的に「英語ができる」とはどういう意味でしょうか。
ある人にとっては、海外の大学に留学したり、外資系の会社と英語でプレゼンができること指しているかもしれません。
道端で、外国人旅行客に道を聞かれて、「There !」と答えることができれば、それはもう英語ができると言って良いと判断する人もいるでしょう。
これらに共通していることは、英語で何かしらの情報をインプットし、それに対して適切にアウトプットしていることです。
つまり、英語ができるとは、以下のように言えると思います。
英語ができる
=互いに意思疎通ができるインプットとアウトプットの能力がある
では、インプットとアウトプットの能力とは何でしょうか。
- インプット:聞く、読む
- アウトプット:書く、話す
簡単にいうと、上記の4つの能力になります。
インプットができないと、アウトプットできない
TOEICに意味がないと言っている人が、あまり気付いていないことがあります。
それが、「インプットができないと、アウトプットできない」ということです。
これは、言語に関して一般的に言えることなのですが、ある言語で書かれた情報の意味を理解できないと、そもそもその言語が使えるようにはなりません。
つまり、最初は、なんでも単語の意味を覚えることから始まるのです。
そして、次に文法を理解し、文の理解、最終的には文章の理解へ進むことができます。
これらの段階を経て、はじめて、自分の口から英語を発したり、字で書いたりできるようになります。
インプットなしに、アウトプットできる人間はいません。
重要なのは、まずインプットの能力を鍛えることです。
まず、インプットの能力を鍛えよう!
参考 : クラッシェンのインプット仮説に関する論文
TOEICはインプット能力を測るための適切なツール
インプットの重要性は、先の項目でお話した通りです。
自分のインプット能力を測るには、どうすれば良いのでしょうか。
答えは、TOEICを受けることです。
TOEICは、インプット能力を測るために非常に優れています。
TOEICのテスト内容は、「リスニング」と「リーディング」です。
つまり、インプット能力に関するテストなのです。
TOEICを受けると、リスニングパートとリーディングパートごとに点数が出ます。
さらに、その点数を見ると、自分がどのレベルの英語力(インプット力)を持っているのかを判断することができます。
Score Descriptor Table(レベル別評価の一覧表)
リスニングスコア:370~275
一般的に以下の長所が認められます。
- 短い会話において、特に語彙が難しくないときは、話の主旨、目的、基本的な文脈が推測できることもある。
- 長い聴解文において、情報の繰り返しや言い換えがあるときは、話の主旨、目的、基本的な文脈が理解できる。
- 短い会話において、簡単な、または中級レベルの語彙が使用されるときは、話の詳細が理解できる。
- 長い聴解文において、情報が繰り返され、解答に必要な情報が話の最初か最後に提示されるときは、話の詳細が理解できる。情報が少し言い換えられていても、詳細が理解できる。
日本ではTOEICが英語力を測るスタンダードになっている
就職活動や、普段の会話でも英語がどれほどできるかの指標としてTOEICが使われていることが良くあります。
履歴書に英語力を記載する欄があれば、そこには多くの人がTOEICの点数を書くのではないでしょうか。
定性的な情報だけでなく、定量的なデータでも見ていきましょう。
アンケート質問:採用時にTOEICスコアを参考にするか?
参考にしている | 27.6% |
参考にすることがある | 41.7% |
将来的に参考にしたい | 14.0% |
今後も参考にする予定はない | 11.4% |
無回答 | 5.3% |
上記のデータを見てみると、上場企業のうち、約7割の企業がTOEICの点数を採用時に重視すると回答しています。
「TOEICの勉強に意味はない」と言っていた人は、このようなデータを知らないのでないでしょうか。
これは、日本の上場企業を対象としたアンケートですので、多くの人が入社を希望する対象の企業が回答している可能性が高いです。
このように、日本では、英語力を知るための指標として、TOEICが標準的なものとして認知されていると言えるでしょう。
TOEICの点数を言えば、誰もがその人の英語力をイメージできる!
確かにTOEICだけでは意味がない
「TOEICに意味がない」という意見にも一理あります。
それは、インプット能力しか測れないからです。
「TOEICに意味はない」と言っている人の背景には、アウトプットもできることが前提となっている人が多いです。
聞けて、読めるだけではなく、書けて、話せて初めて英語ができると言えるという考え方です。
そして、彼らはTOEFLやIELTSといった試験の勉強をする方が意味があると言ってくるでしょう。
TOEICは「英語ができる」ことの必要条件ではありますが、十分条件ではありません。
TOEICの点数が高いからとって、「英語ができる」とは限りません。
もちろん、これは正しい意見です。
しかし、「英語ができる」人は、総じてTOEICの点数も高いです。
この記事でも説明した通り、アウトプットをするためには、まずインプットが必要です。
インプットをおろそかにする(TOEICを意味がないと切り捨てる)ということは、英語の入り口をふさいでいるのと同じです。
人にはそれぞれ、英語のレベルがあって、まずインプットから、まずTOEICから始めるのは、全くおかしいことではありません。
むしろ、非常に意味のあることです。
自分にとって意味があるのかを考える
人によって、意味のあるなしは様々です。
自分自身の英語能力(インプット、アウトプット)を客観的に把握し、TOEICの勉強が意味があるのかどうかを判断すれば良いです。
一番良くないのは、「TOEICは意味ないよ!」という言葉をそのまま受け止めてしまい、勉強しないことです。
この記事を読んでくださった人がご自身で、TOEICの勉強の意味を見いだしてもらえると嬉しいです。