TOEICと第二言語習得

【第二言語習得理論】英語を効率的に勉強するには科学的に取り組むことが重要

英語を勉強している人の中には、自分の努力量(勉強時間)の割に、あまりTOEICの点数などが伸びないと悩んでいる人も多いと思います。

私もそうでした。

私は中学校や高校で習った英語を、独学で勉強をしているだけでした。
それでも全然TOEICのスコアが上がらなかったのですが、この第二言語習得」という学習理論に沿って、勉強をした結果、TOEICの点数も200点以上アップしました。

点数だけでなく、勉強をする中でも明らかに以前よりも理解できている実感を得ることができました。

第二言語習得に沿った勉強の重要なポイントは以下の通りです。

  • 自分が理解できるインプットを増やす
  • 自分の間違いを検証できる機会を増やす

それでは詳しく見ていきましょう!

第二言語習得とは?

第二言語習得(だいにげんごしゅうとく、英語:second-language acquisition)は、学習者が母語の次に言語を学ぶ過程を科学的に解明する学問で、心理学、言語学、教育学などの学際領域である。広義には教授法も含まれる。

第二言語という用語は、第三言語以降の習得も含め、児童期の初期以降に習得し始める言語を意味する。学習される言語は「目標言語 (TL) 」「L2」などと呼ばれる。第二言語習得自体も「SLA」「L2習得」などと言われることもある。

出典:Wikipedia

難しい言葉が並んでいますが、簡単にいうと、第二言語習得とは、人間が新しい言語を習得するときの学習過程(プロセス)を研究する学問です。

有名な第二言語習得の学者ではミシガン大学のSusan Gass博士がいます。

彼女の論文(Second Language Acquisition: An Introductory Course)が非常に参考になりますが、読む時間がないと思いますので、この後に解説します。

第二言語習得の4つの学習過程(プロセス)

どの勉強に関しても同じことが言えますが、勉強(学習)とは、インプットとアウトプットの繰り返しにより、短期記憶から長期記憶に知識を定着させていくことを言います。

特に、第二言語習得については、母国後以外の言語を習得するときに最も効率的(効果が高い)な学習過程について述べています。
その学習過程が以下です。

  1. (インプット)
  2. 気づき – Noticed Input
  3. 理解 – Comprehended Input
  4. 内在化 – Intake
  5. 統合 – Integration
  6. (アウトプット)

この学習過程を詳しく解説していきます。

気づき – Noticed Input

これは簡単に言うと、意識をして聞いたり、読んだりすることです。

意識しないと聞けないし、読めないよ!と思うかもしれませんが、英語を聞いているときや読んでいるときに、ふと意識が違う方向に行ってしまったことはありませんか?

これは、みなさん経験があると思います。
リスニングでも聞いているつもりが意識が違うところに向いてしまって、気づいたら問題が終わっていた…なんてことも。

これは「気づき – Noticed Input」がうまくできていないから起こる現象です。
第二言語習得の立場からすると、英語を聞き流すだけというのは、あまり効果的ではないと言えます。

インプット(聞く、読む)をするときは、目の前の教材に意識を集中して取り組みましょう
意識をしてインプットすることで、脳に短期記憶として記録されます。

意識を集中してインプットすることで、短期記憶に記録される!

理解 – Comprehended Input

短期記憶として記録された知識は、次のプロセスである「理解 – Comprehended Input」に進みます。

Susan博士によれば、理解の段階には2段階あります。

  • 1段階目 : 入ってくる情報の意味を理解している状態
  • 2段階目 : 情報の構造(文法など)まで理解している状態

全く自分が分からない内容の情報をインプットしても、「理解」が進まないので、あまり意味はありません。

1段階目の状態は、単語の意味を暗記していくことで、到達できます。
流れてくる情報の構造まで理解できなくても、聞き取った単語の意味だけで、情報の内容が理解できます。

2段階目の状態は、文法や慣用表現、表現が使用される場面などの理解も必要です。
単語の意味だけでなく、文章としての構造を理解することで、その情報を意味の塊として理解することができます。

ここで一つ、例を挙げておきます。
道端で道に迷っている外国人観光客に道を聞かれてところを想像してください。

1段階目の状態

「Which *** should *** *** **** Tokyo Station ?」(東京駅へ行くにはどの道を行けば良いですか?)

“Which” “should” “Tokyo Station” の3単語だけ聞き取ることができても、”どの” “東京駅”という単語だけで意味を理解することができますね。

2段階目の状態

「Which way should I go to Tokyo Station ?」(東京駅へ行くにはどの道を行けば良いですか?)

全ての単語を聞き取ることができている、かつ、Which wayという「疑問詞 + 名詞」から始まるパターンを理解しています。
また、助動詞のshouldの意味で「~すべき」ではなく「~した方が良い」という意味も理解しています。

上記の文法知識、文の構造まで全て理解している状態です。

この2段階目の理解の状態になる範囲が増えると、2段階目の状態の応用(横展開)ができるようになります。
これによって、今まで聞いたことがない単語や、状況においても、入ってくる情報に仮説を立てることができます。

これが「理解 – Comprehended Input」における最も重要なポイントです。

2段階目の理解の状態は、知らない情報に出会った時に仮説を立てることができる!

内在化 – Intake

「内在化 – Intake」は、今までに覚えてきた英語の知識と比較して正しさを検証することを言います。

2段階目の理解にあるときに、すでに今までの英語の学習を通じて、自身の中にたまっている知識と新しく入ってきた知識を比較したり、正当性を検証したりします。
そうすることで、新しく入ってきた情報や知識を、自分の中にため込むことができます。

このようにして新しい情報や知識を内在化させていきます。

先ほどの外国人観光客の例で考えてきます。

「Which way should I go to Tokyo Station ?」(東京駅へ行くにはどの道を行けば良いですか?)
と聞かれた時に、
「If you go straight on this road, you will arrive at Tokyo Station.」
と答えることで、外国人観光客が理解をして、目のまえの道を進んでくれれば、会話が成立したことが分かり、自分の中での知識と検証した結果、自分が出した返答が正解だったと理解することができます。

このようなプロセスを経て、自分の中の知識が増えていきます。

統合 – Integration

「統合 – Integration」では、内在化を通じて、自分の中にある知識とつなげることで「長期記憶」にします
意識したインプットで「短期記憶」として覚えた知識を、理解から内在化を通して「長期記憶」に変換します。

どういった状態になったら「長期記憶」になるのでしょうか。

一番簡単な例を挙げると以下のような感じです。

Is this a pen ?
→ Yes, it is.

ほとんどの人は、「Is this a pen ?」と聞かれて、それが本当にペンだった場合、「Yes, it is.」と即答できると思います。

この状態が「長期記憶」になっていると言います。
特に、”this” や “pen” の意味をいちいち思い出す必要なく、意味が理解できて、質問に対する回答も反射的に口が出てくると思います。
この状態になっていると知識が長期的に身に付いていると言えます。

外国人観光客の例も上記と同じように、質問された内容を特に頭の中で、理解しようと考える必要なく、質問への回答をすることができていれば問題ありません。

重要なのは、短期記憶で終わらせずに、多くの知識を「統合」まで持って行き、長期記憶の知識量を増やすことです。

短期記憶から長期記憶に移行して、長期記憶の量を増やす!

英語の学習に第二言語習得のプロセスを取り入れよう

これまで見てきた第二言語習得の流れをおさらいします。

第二言語習得のながれ
  • 意識したインプットを心がける(ボーっとしない)
  • 自分が理解できるインプットで学習する
  • 自分の中の知識と掛け合わせて正当性を検証する
  • 短期記憶から長期記憶へ変換する

あまりに自分のレベルとかけ離れた内容の教材を使っても、自分が理解できないと質の悪いインプットになってしまい、学習の効果が下がります。
一度自分の英語力を客観的に測ってから、適切な参考書を使ってインプットをするようにしましょう。

皆さんの英語学習がこれまで以上に効果が上がることを祈っています。

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